ベッカライ・シュタインメッツ@新宿(閉店)

ちょっとシュタインメッツ製法のおはなし。

シュタインメッツ製法。それはドイツで生まれた麦の製粉方法。
昔のヨーロッパでは麦は収穫されると近所の水車小屋でまるごと製粉されて、すぐに消費されていた。

しかしやがて時代が変わって製粉した粉を常に大量にストックし、遠隔地にまで流通するようになると傷みやすい胚芽部分は切り捨てられるようになる。
しかし胚芽は麦の中でも最も栄養価の高い部分。

この効率重視の近代製粉方法に疑問を持っていたシュタインメッツ社では、19世紀に画期的な製粉方法を開発した。
普通の製粉方法ではまず麦を砕いて、その後固い外皮を取り除く。そして麦の中心の胚乳部分だけを使う。するとおなじみの白いパンができる。
しかしシュタインメッツ製法ではまず、麦を水で洗って汚れを取り除き、その後柔らかくなった最外皮だけを取り除くのだ。
すると胚乳だけでなく、胚芽や果皮も残すことができる。麦の生命力と栄養成分が丸ごと残った粉ができるというわけだ。

そう、シュタインメッツ製法は意外と古くからヨーロッパに伝わっている製粉方法だ。その後20世紀、1986年にチェルノブイリで原子力発電所の事故が起きたときには、麦をまず洗って汚染を取り除くその手法が改めて脚光を浴びたと聞いたこともある。

製粉方法が違うからって味も変わるの?と思うかもしれないけれど、シュタインメッツ粉のパンには、食べるとそれとわかる特徴がある。
シュタインメッツ粉は水分を吸収しやすい性質がある。だから焼きあがったパンはしっとりと水気が多く、ちょっと最近流行りの米粉のパンのようなもっちりした食感があるのだ。また胚芽部分なども残っているので、甘い風味も際立っていて、滋味深い。ミネラルやビタミンもたくさん残っている。抗酸化作用もあるらしい。。

現在では「アンデルセン」がシュタインメッツ粉の「独占使用件」を持っているのだそうで、アンデルセンのお店に行くと赤いマークのラベルの並んだシュタインメッツコーナーがある。

 

ベッカライ・シュタインメッツへ

さて、今日はアンデルセンのお店のなかでもシュタインメッツ粉のパンを特に数多く集めた新宿3丁目のお店へ。その名も「ベッカライ・シュタインメッツ」

 

私が好きなのは基本の「シュタインメッツブロート」「グッドウイークエンドブレッド」など。
厚めに切って軽く温めるとしっとりと香りたつ。

 

併設のカフェで

小さなカフェが併設されているので、今日はランチボックスを頂いてみる。シュタインメッツトーストのサンドイッチ。飲み物とマフィンもトレイにのっている。

 

う〜ん。トースト用のパンなのだから、サンドイッチにするにしてもやはり温かくトーストしたものをいただきたい。ランチボックスに入れるなら別のパンにしたほうがよいかも。。

 

 

ところで、私とシュタインメッツ粉のパンのお付き合いは結構長い。
実はアンデルセンが取り扱う前には「神田精養軒」というお店がシュタインメッツ粉のパンを作っていた。神田精養軒は今はもうなくなってしまったけれど、パン好きのひと、特にドイツのパンが好きなひとならきっと懐かしく思い出すはずだ。
私は神田精養軒のロッゲンブロート(ライ麦パン)プンパーニッケル(長時間蒸し焼きにしたライ麦パン)などが好きだった。地味だけれど味わい深いそれらのパンは、シュタイナー農法で作られた麦を使って作られていた。確かお店では「輪作農法」と呼んでいたと思う。
そうして収穫した麦をシュタインメッツ製法で製粉していたのだからずいぶんとこだわりのあるパンだったのだな。。

シュタイナー農法は「バイオダイナミック農法」「ビオディナミ」という呼び名でも知られている農法。日本ではあまり知られていないかもしれないですね。
化学製品を使わず有機物を散布するというような普通の有機農法とはちょっと違っている。
シュタイナー農法は、星や月の動きが植物に与える影響を活かすための農業暦、大地を活性化するための独自の材料を使った調合材などを使ったとてもオリジナルな農法だ。
神田精養軒のパンは他のパンやさんとは一線を画す雰囲気を発しているようで、私はそこが好きだったのだけれど、それはシュタイナー独自の農法で作られた麦が発している空気だったのかもしれない。
私はその頃はシュタイナーのことはまったく知らなかったけれど。。

今のアンデルセンのシュタインメッツは小麦がメインらしくそれほど重厚なものではなくて、白パンと黒パンの間くらいの自然な色合いの食べやすいものが多い。全粒粉ともまた違ったシュタインメッツ粉のおいしさが味わえる。

 

お店の情報

ベッカライ・シュタインメッツ

 

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